図書館振興財団が2025年度振興助成事業8件を決定、デジタル化支援とアクセシビリティ向上に注力

記事の要約
- 図書館振興財団が2025年度振興助成事業8件を採択
- アクセシブル図書開発やデジタルアーカイブ化など実施
- 助成総額は約2637万円で図書館事業の発展を支援
図書館振興財団の2025年度振興助成事業決定
公益財団法人図書館振興財団は2025年2月28日、2025年度振興助成事業として8件の事業を選出し、総額2637万2555円の助成を決定した。振興助成事業は図書館を通じた新しい取り組みやアイデアの実現化をサポートする助成で、わが国の図書館事業の健全な発展を図り、国民の教育・文化の発展に寄与することを目的としている。
助成対象には大分市教育委員会の電子書籍システム導入事業や、NPO法人エファジャパンのマルチメディアDAISY図書開発事業など、デジタル技術を活用した先進的な取り組みが多く含まれている。山形国際ドキュメンタリー映画祭の映画祭草創期資料のデジタルアーカイブ化など、文化資源の保存活用も重点的に支援される形となった。
助成事業の募集は2024年9月から10月にかけて実施され、厳正な審査を経て採択が決定された。図書館運営、調査研究、コレクション活用、学校図書館支援という4つの事業区分で募集が行われ、図書館の新たな価値創造につながる事業が選ばれている。
2025年度振興助成事業の内容
項目 | 詳細 |
---|---|
助成総額 | 2637万2555円 |
採択件数 | 8件 |
事業区分 | 図書館運営、調査研究、コレクション活用、学校図書館支援 |
主な採択事業 | 電子書籍システム導入、DAISY図書開発、デジタルアーカイブ化 |
募集期間 | 2024年9月13日~10月25日 |
デジタルアーカイブについて
デジタルアーカイブとは、文化資源をデジタル化して保存・活用するシステムのことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- 貴重な資料を劣化させることなく永続的に保存可能
- 時間や場所を問わずオンラインでアクセス可能
- 複数の利用者が同時に閲覧・研究に活用可能
図書館振興財団の助成事業では、山形国際ドキュメンタリー映画祭の草創期資料や東京外国語大学所蔵の八杉貞利ロシア関係資料など、様々な文化資源のデジタルアーカイブ化が支援されている。これらのデジタルアーカイブ化により、貴重な文化資源の保存と活用が促進されることが期待される。
図書館振興財団の助成事業に関する考察
図書館振興財団の2025年度助成事業では、電子書籍システムやデジタルアーカイブなど、デジタル技術を活用した事業が多く採択されている点が注目に値する。特にマルチメディアDAISY図書の開発は、障がいのある利用者のアクセシビリティ向上に大きく貢献することが期待できるだろう。
今後の課題としては、デジタル化された資料の長期保存方法や、システムの継続的な運用・更新にかかるコストの確保が挙げられる。これらの課題に対しては、複数の図書館での共同運用や、クラウドサービスの活用などが解決策として考えられるだろう。
図書館振興財団には、今後も時代のニーズに即した先進的な取り組みへの支援を期待したい。特に地域の特性を活かした独自のデジタルアーカイブ構築や、利用者の学習・研究活動を支援する新しいサービスの開発など、図書館の可能性を広げる事業への支援が望まれる。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「カンボジアの障がいのある子供達が利用できる「アクセシブルな図書の開発」や「映画祭草創期資料のデジタルアーカイブ化」など8事業に対し、図書館振興財団が助成を決定。2025年度の助成総額は約2600万円に | 公益財団法人図書館振興財団のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000145376.html, (参照 2025-03-06).