GOYOHと九州大学都市研究センターが不動産ESG研究を開始、投資リターンとの相関性分析による持続可能な街づくりへ

記事の要約
- GOYOHと九州大学都市研究センターがESG共同研究を開始
- 不動産のESGインパクトと投資リターンの相関性を分析
- 持続可能な不動産投資モデルの社会実装を目指す
ESGインパクトと不動産投資の相関性研究が始動
株式会社GOYOHは2025年3月3日、九州大学都市研究センターとともにESGインパクトと不動産投資リターンの相関性分析に関する共同研究を開始した。GOYOHが保有する国内外の機関投資家の不動産ESGデータと、九州大学都市研究センターが研究をリードする新国富指標の評価手法を組み合わせることで、ESG価値の高い不動産が周辺地域に与える社会的インパクトと経済循環の相関性を数値化していく。
不動産分野は世界のCO2排出量の40%を占める重要な環境要因であり、人々は1日の90%を屋内で過ごしている現状から、ESG投融資における重要な投資対象となっている。しかし現状では不動産における非財務データや社会的インパクト評価モデルが不足しており、ESGインパクトと経済性の評価モデルは確立されていない状況だ。
本研究では包括的研究テーマとして「ESGインパクトと不動産投資リターンの相関性分析」を掲げ、建物の照明設備のウェルビーイングや災害レジリエンス要素の経済的価値など、個別研究テーマも設定している。対象施設はオフィスや商業施設、集合住宅、物流施設、ホテルなど多岐にわたり、各分野での最適化モデルの構築を目指すものである。
共同研究の概要
項目 | 詳細 |
---|---|
研究開始時期 | 2025年3月 |
研究主体 | 株式会社GOYOH、九州大学都市研究センター |
主な研究対象 | オフィス、商業施設、集合住宅、物流施設、ホテル、リゾート施設、データセンター |
評価指標 | 新国富指標(IWI: Inclusive Wealth Index) |
活用データ | GOYOHの不動産ESGデータ、EaSyGoプラットフォームのデータ |
新国富指標について
新国富指標(IWI: Inclusive Wealth Index)とは、国連が2012年に発表した新たな非財務価値の評価手法である。主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- 物的資本、人的資本、自然資本から構成される包括的な指標
- 現在と将来世代の社会的富を金銭的価値で数値化
- GDPを補完する新たな価値評価基準
本研究では新国富指標を不動産評価に応用することで、ESG価値の高い不動産が利活用者や周辺地域に与える社会的インパクトと経済循環との相関性を数値化していく。この指標により、不動産投資における持続可能性と経済性の両立を客観的に評価することが可能になるだろう。
ESGと不動産投資の相関性研究に関する考察
不動産分野におけるESG評価モデルの確立は、持続可能な社会の実現に向けて重要な一歩となる可能性を秘めている。特に機関投資家が運用する不動産のグローバル市場規模が約13.2兆ドルに達する中で、ESGインパクトと経済性を両立させる評価モデルの構築は、投資判断の新たな指標として機能するだろう。
一方で、不動産の非財務データやコミュニティデータの収集・分析には多大な時間と労力が必要となることが予想される。建物や地域によってESG要素の影響度が異なる可能性もあり、統一的な評価基準の策定には慎重な検証が求められるはずだ。
将来的には本研究の成果が、建物単体の評価だけでなく街づくり全体のESG戦略にも活用されることが期待される。不動産投資を通じた社会的インパクトの創出と経済的リターンの両立は、持続可能な都市開発のモデルケースとなる可能性を持っている。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「GOYOH、九州大学都市研究センターがESGインパクトと不動産投資リターンの相関性分析に関する共同研究を開始 | 株式会社GOYOHのプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000048.000045260.html, (参照 2025-03-04).