スペサンと筑波大学が企業理念浸透度の研究成果を発表、組織風土との相関関係が明らかに

記事の要約
- スペサンが筑波大学と企業理念浸透度の研究成果を発表
- 心理的安全な場づくりが企業理念浸透度に良い影響
- 組織風土と理念浸透度が従業員の行動にポジティブな効果
スペサンと筑波大学による企業理念浸透度の共同研究
株式会社スペサンは2025年3月5日、筑波大学働く人への心理支援開発研究センターと共同で実施した「企業理念の浸透度と企業文化醸成のための組織風土が従業員の思考や行動に与える影響の探索的検討」の研究成果を日本キャリア・カウンセリング学会第29回大会で発表した。この研究は同社が提供する企業カルチャー醸成サービス『Cultive』で提唱しているロジックの信憑性を裏付けるものとなっている。
研究では企業理念の浸透度と、その浸透度を促進する組織風土を測定する尺度の開発が試みられ、特に組織風土における「心理的安全な場づくり」「相互の賞賛・感謝」「会社に対する信頼」が理念浸透度に良い影響を与えることが明らかになった。これらの要素は従業員エンゲージメントの向上にも寄与することが確認されている。
調査結果からは、企業文化醸成のための組織風土と企業理念浸透度の両面が従業員の思考や行動にポジティブな影響を与える可能性が示された。特に「会社に対する信頼」は企業理念浸透度と従業員の行動に大きな影響を与える重要な要因であることが判明している。
研究調査の概要
項目 | 詳細 |
---|---|
調査名称 | 職場における意識に関する調査 |
調査期間 | 2023年8月~2024年4月 |
調査方法 | オンラインによる質問紙調査 |
調査対象 | 民間企業17社、258名 |
実施主体 | 株式会社スペサン、筑波大学働く人への心理支援開発研究センター |
企業理念浸透度について
企業理念浸透度とは、組織の構成員が企業理念を理解し実践している度合いを指す尺度であり、以下のような特徴がある。
- 認知・理解・言語化の度合いを測定
- 体現・習慣化のレベルを評価
- 組織風土との相互作用を分析
本研究では企業理念浸透度と組織風土の関係性が詳細に分析され、特に「相互の賞賛・感謝」が企業理念浸透度の「認知・理解・言語化」と「体現・習慣化」を媒介し、従業員の思考や行動へ影響を与えることが明らかになった。この知見は企業文化の醸成における具体的な施策立案に活用できる重要な示唆となっている。
企業理念浸透度研究に関する考察
企業理念浸透度の測定尺度開発は、企業文化醸成における具体的な指標として重要な意味を持つ取り組みである。特に組織風土との関連性が明確になったことで、企業理念の浸透を促進するための具体的なアプローチが可能になることが期待できる。今後は測定された数値を基に、より効果的な企業文化醸成施策の立案が可能になるだろう。
一方で、企業規模や業態による差異、さらには従業員の属性による影響なども考慮に入れた、より詳細な分析が必要となる可能性がある。企業理念浸透度の測定方法や評価基準については、継続的な改善と検証を重ねることで、より精度の高い指標として確立されることが望まれる。
長期的な視点では、企業理念浸透度と企業パフォーマンスの関連性についても研究の余地がある。組織風土や従業員の行動変容が実際の企業業績にどのように影響するのか、定量的な分析を進めることで、企業文化醸成の重要性がより明確になることが期待される。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「【株式会社スペサン】筑波大学働く人への心理支援開発研究センターとの共同研究の成果を発表 | 株式会社スペサンのプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000019069.html, (参照 2025-03-06).