記事の要約
- 2025年度税制改正で特定扶養控除の年収制限が150万円に引き上げ
- 大学生の86.6%が税制改正を評価するも増収意欲は限定的
- 学業との両立を重視し現状維持を選ぶ学生が4割以上
2025年度税制改正における大学生の就労意識調査
株式会社ビーウェルは2024年12月24日、全国の大学生648名を対象とした2025年度税制改正と大学生のアルバイト事情に関するアンケート調査結果を公開した。特定扶養控除の年収制限が103万円から150万円に引き上げられることについて、86.6%の学生が好意的な評価を示している。アルバイトをしている学生は全体の92.1%に達し、現代の大学生活における収入の重要性が浮き彫りとなっている。
調査対象の大学生の男女比は男性36.1%、女性62.5%となっており、幅広い属性からの意見が収集されている。年収制限の引き上げによってアルバイト時間を増やす意向を示した学生は52.8%に留まり、33.8%の学生が現状維持を選択するなど、収入増加よりも学業との両立を重視する傾向が強く表れている。
親の税負担軽減がアルバイトの意欲に与える影響については、59.3%の学生が前向きな反応を示している。一方で31.9%の学生は税負担の軽減と就労意欲は関係ないと回答しており、大学生の就労に対する価値観の多様化が明確になった。
大学生の就労意識調査結果まとめ
税制改正への評価 | アルバイト実施状況 | 就労意欲の変化 | |
---|---|---|---|
肯定的回答 | 86.6%(561名) | 92.1%(597名) | 52.8%(342名) |
否定的回答 | 3.2%(21名) | 7.9%(51名) | 33.8%(219名) |
中立的回答 | 10.2%(66名) | – | 13.4%(87名) |
特定扶養控除について
特定扶養控除とは、大学生などの16歳以上23歳未満の扶養親族を持つ親の税負担を軽減するための制度のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- 扶養する子の年収に応じて親の所得税が軽減される
- 2025年度から年収制限が103万円から150万円に引き上げ
- 大学生の就労機会拡大を支援する制度的枠組み
特定扶養控除の年収制限引き上げは、一人暮らしの大学生や生活費を賄うためにアルバイトをする学生にとって重要な制度改正となっている。調査結果からは制度改正への期待が高い一方で、学業との両立を重視する学生も多く、制度改正の効果は限定的になる可能性が示唆されている。
大学生の就労支援制度に関する考察
2025年度の税制改正による特定扶養控除の年収制限引き上げは、大学生の経済的自立を支援する重要な一歩となる可能性が高い。しかし同時に、アルバイト時間の増加が学業に支障をきたす可能性も懸念されており、就労と学業のバランスをどのように保つかが新たな課題として浮上している。
制度改正によって学生の就労機会は拡大するものの、時給の低さや労働環境の問題など、根本的な課題は依然として残されている。最低賃金の引き上げや、学生の立場を考慮した柔軟な勤務体系の整備など、より包括的な支援策の検討が求められている状況だ。
今後は単なる収入増加だけでなく、学生の本分である学業との両立を可能にする環境整備が重要となるだろう。奨学金制度の拡充や学費の見直しなど、多角的なアプローチによって学生の経済的負担を軽減する取り組みが期待される。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「税制改正が追い風にならない大学生バイト事情!150万円の壁、増収よりも生活優先? | 株式会社ビーウェルのプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000099375.html, (参照 2025-01-08).