記事の要約
- 戦時中の国民学校高等科用国史教科書が復刻
- 日本の教育レベルの高さを示す貴重な資料
- 皇国史観に基づく最後の国史教科書
戦時下の国民学校高等科国史教科書が復刻出版
株式会社ハート出版は、戦時中の国民学校高等科一、二年生用国史教科書『復刻版・高等科国史』を2021年1月23日に発売した。本書は一巻のみ発行され学徒の勤労動員により使用されなかった教科書と二巻の合本であり、76年の時を経て初めて世に出た幻の教科書となっている。
本教科書は神代と現代の精神的連結を基本理念として貫かれており、皇紀を用いた年代表記や皇国史観に基づく内容構成となっている。レイテ沖海戦まで言及されており、神風特別攻撃隊の戦果を詳細に記録した最後の国史教科書である。
国民学校の国史教育は初等科・高等科で完結するよう構成されており、既刊の『復刻版 初等科国史』と併せて読むことで理解が深まる仕組みとなっている。本書によって、当時の教育レベルの高さと戦後教育の変化を客観的に検証することが可能だ。
復刻版・高等科国史の概要
項目 | 詳細 |
---|---|
書籍名 | [復刻版]高等科国史 |
著者 | 文部省 |
仕様 | A5並製・296ページ |
発売日 | 2021年1月23日 |
価格 | 1800円(税別) |
発行 | ハート出版 |
皇国史観について
皇国史観とは、天皇を中心とする国家観に基づいて日本の歴史を解釈する歴史観のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 天皇の存在を歴史の中心に据える解釈方法
- 神代から現代までの連続性を重視する歴史観
- 年代表記に皇紀を採用する独自の時間観念
本教科書における皇国史観は、神代と現代の精神的連結を基本理念として貫かれており、日本の危機的状況下での歴史教育の特徴を示している。戦時下において編纂された最後の国史教科書として、当時の教育理念や歴史観を理解する上で重要な資料となっている。
戦時下の国史教育に関する考察
戦時下における国史教育は、当時の社会情勢を強く反映した内容構成となっており、教育を通じた国民意識の形成に重点が置かれていたことが明確である。特に本教科書においては、レイテ沖海戦や神風特別攻撃隊の記述に見られるように、国家の危機的状況下における歴史教育の役割が鮮明に表れている。
国民学校における国史教育の体系は、初等科から高等科まで一貫した教育理念のもとに構築されており、当時の教育レベルの高さを示す重要な証左となっている。現代の教育現場において、この教科書から学べる点は多岐にわたり、特に体系的な歴史教育の在り方について示唆を与えるものだろう。
本教科書の復刻によって、戦時下の教育内容を客観的に検証することが可能となり、現代の歴史教育に対する新たな視座を提供している。歴史教育の目的や方法論について再考する機会を提供するとともに、教育の持つ社会的影響力についても深い洞察をもたらすだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「日本が本当の「日本」だった時代の、最後の国史教科書『復刻版・高等科国史』が増刷、5刷 | 株式会社ハート出版のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000149.000049367.html, (参照 2025-01-08).