同朋大学が社会的養護経験者の支援システムで特許を出願、孤立防止と自立支援の実現へ
記事の要約
- 同朋大学が社会的養護経験者支援の特許を出願
- 社会福祉学部の宮地菜穂子准教授が中心のプロジェクト
- 支援と繋がりながら自立を支える仕組みを創出
社会的養護経験者の支援システム開発プロジェクト
同朋大学は社会福祉学部の宮地菜穂子准教授が中心となって進めているプロジェクトで2024年11月22日に特許を出願した。このプロジェクトは社会的養護経験者の社会的孤立を防ぎ、支援と繋がりながら自立を支える仕組みの構築を目指している。
2021年4月30日に発表された厚生労働省の全国調査結果によると、施設などのサポートを受けていないケアリーバーが5人に1人に上り、社会的孤立の深刻な実態が明らかになっている。この問題に対応するため、2022年10月からインケアからアフターケアへの切れ目ない支援を可能にする仕組みの構築がスタートしたのだ。
プロジェクトでは社会的孤立・孤独メカニズムの理解と新たな社会像の描出に取り組んでいる。社会的養護現場の措置児童やケアリーバー、支援者、職親等を対象とした実態調査を実施し、アセスメントバッテリーの作成を通じて孤立指標の確立を目指している。
プロジェクトの概要
項目 | 詳細 |
---|---|
プロジェクト名 | 社会的養護経験者などに対する支援システムおよび支援方法 |
実施機関 | 同朋大学社会福祉学部 |
特許出願日 | 2024年11月22日 |
開始時期 | 2022年10月 |
背景データ | 施設サポート未受給者が5人に1人(2021年4月30日厚労省調査) |
ケアリーバーについて
ケアリーバーとは、児童養護施設や里親家庭などの社会的養護のもとで育ち、その後、施設等を退所した人々のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 18歳到達や進学・就職を機に施設等を退所する若者
- 自立に向けた支援やアフターケアが必要
- 社会的孤立のリスクが高い傾向にある
現在の日本では、5人に1人のケアリーバーが施設などからのサポートを受けていない状況にある。長期的な見守りと支援体制の構築が課題となっており、特に施設退所後の連絡先把握や継続的なアフターケア体制の整備が重要となっている。
社会的養護支援システムに関する考察
社会的養護経験者支援システムの開発は、施設退所後の継続的な支援を可能にする画期的な取り組みとして評価できる。特に支援者との繋がりを維持し、必要な時に相談できる体制を構築することは、社会的孤立を防ぐ上で重要な意味を持つだろう。
今後の課題として、支援システムの普及と定着、支援者側の人材確保と育成が挙げられる。また、プライバシーの保護と支援の効果的な提供のバランスを取ることも重要となるだろう。システムの継続的な改善と、利用者のニーズに応じた柔軟な対応が求められる。
長期的には、このシステムを基盤として、より包括的な社会的養護のエコシステムを構築することが期待される。社会的養護の分野において、テクノロジーを活用した支援の新しいモデルケースとなり、他地域への展開も視野に入れた発展が望まれる。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「SmartMat Cloudが三重大学「実践データサイエンティスト育成プログラム」の教材に採用 | 株式会社エスマットのプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000106.000026042.html, (参照 2025-01-08).