長崎大生が河川ごみを調査研究、KTNテレビ長崎が特別番組として大晦日に放送へ
記事の要約
- 長崎で海洋ごみ問題を特集した番組を大晦日に放送予定
- 大学生が2つの河川でごみの調査研究を実施し成果を公開
- 海と日本プロジェクトによる環境保全活動の一環として実施
長崎大学生による河川ごみ研究の特別番組放送
一般社団法人海と日本プロジェクトinながさきは、KTNテレビ長崎と協同で海洋ごみ問題に関する特別番組「海ごみなぜ〜卒論で問う大学生〜」を2024年12月31日に放送することを発表した。この番組は日本財団が推進する海洋ごみ対策プロジェクト「海と日本プロジェクト・CHANGE FOR THE BLUE」の一環として制作されており、長崎大学水産学部の学生による研究成果が詳しく紹介される予定だ。
番組では長崎県内の時津川と戸根川という2つの河川を対象に、長崎大学水産学部4年の関善之介さんを中心として5か月にわたって実施された調査研究の過程が紹介される。時津川は住宅や商業施設が多い都市型河川であり、戸根川は農地や山林が多い郊外型の河川という特徴を持つことから、環境の違いによるごみの実態解明が期待されている。
一般社団法人海と日本プロジェクトinながさきは、2023年度に長崎県の閉鎖性海域である大村湾で漂流ごみと海底ごみの調査を実施しており、ごみの多くが陸上由来であることを明らかにしている。今回の河川調査は、海洋環境保全における河川管理の重要性を示す新たな知見をもたらすことが期待されている。
河川ごみ調査の概要
時津川 | 戸根川 | |
---|---|---|
河川の特徴 | 都市型、住宅・商業施設が多い | 郊外型、農地・山林が多い |
調査期間 | 5か月 | 5か月 |
調査地域 | 西彼杵郡時津町 | 長崎市琴海戸根町 |
閉鎖性海域について
閉鎖性海域とは、外海との水の交換が限られている湾や内海などの海域を指す環境学上の専門用語である。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 外海との水の出入りが制限され、水質汚染が蓄積されやすい
- 潮の流れが穏やかで、ごみが沈殿・堆積しやすい
- 生態系が豊かで環境保全の重要性が高い
長崎県の大村湾は典型的な閉鎖性海域であり、海洋ごみの実態調査によって陸上由来のごみが蓄積している実態が明らかになっている。閉鎖性海域の環境保全には、河川を通じて流入する陸上由来のごみを削減することが重要な課題となっているのだ。
河川ごみ調査研究に関する考察
長崎大学の学生による河川ごみの調査研究は、環境特性の異なる2つの河川を比較することで、より具体的な対策の立案につながる可能性を秘めている。特に都市型と郊外型という異なる特性を持つ河川の調査結果は、地域特性に応じた効果的なごみ削減策の策定に貢献することが期待されるだろう。
今後は調査で得られたデータを基に、河川の特性に応じた具体的なごみ削減策の立案や、地域住民の環境意識向上のための啓発活動が重要となってくる。さらに長期的な視点では、定期的なモニタリング体制の確立や、他地域との比較研究による知見の蓄積が必要だろう。
調査研究の成果を特別番組として放送することは、海洋ごみ問題に対する市民の理解促進に大きく寄与する可能性がある。研究成果の社会還元という観点からも、今後は教育現場での活用や、地域の環境保全活動への展開が期待されるのだ。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「海洋ごみ問題をより身近に感じてもらうための番組「海ごみなぜ〜卒論で問う大学生〜」を大晦日に放送! | 海と日本プロジェクト広報事務局のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003163.000077920.html, (参照 2025-01-08).