記事の要約
- 総合資格学院が令和6年度一級建築士設計製図試験で合格者1,764名を達成
- 全国合格者占有率58.6%で業界No.1の実績を記録
- 合格率26.6%と平成21年度の試験見直し以降最低を記録
令和6年度一級建築士設計製図試験の結果分析
公益財団法人建築技術教育普及センターは2024年12月25日に令和6年度一級建築士設計製図試験の合格発表を行い、受験者数11,306人に対して合格者数は3,010人となった。総合資格学院の当年度受講生からは1,764名が合格し、全国合格者占有率58.6%という圧倒的な実績を達成している。
今年度の試験では合格率が26.6%と平成21年度の試験見直し以降で過去最低を記録し、不合格者の大半がランクⅢ以下という明暗のはっきりとした評価となった。法令への重大な不適合として道路高さ制限や延焼のおそれのある部分の明示と防火設備の設置が指摘されている。
受験者の年齢層分析では23歳以下の合格者が過去最高の12.1%を記録し、平均年齢も29.0歳と過去最低を更新している。建築士法改正により実務要件なしでの受験が可能になったことで、学生や若手実務者の早期受験が増加傾向にある。
設計製図試験の採点結果詳細
区分 | 割合 | 評価内容 |
---|---|---|
ランクⅠ | 26.6% | 知識及び技能を有するもの |
ランクⅡ | 1.5% | 知識及び技能が不足しているもの |
ランクⅢ | 23.9% | 知識及び技能が著しく不足しているもの |
ランクⅣ | 48.0% | 設計条件及び要求図書に対する重大な不適合 |
基礎免震構造について
基礎免震構造とは、建物の基礎部分に免震装置を設置することで地震の揺れを軽減する構造システムのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 地震エネルギーを吸収し建物への影響を低減
- 免震層による建物の水平移動を可能にする設計
- 床用の免震エキスパンションジョイントによる変位対応
令和6年度の一級建築士設計製図試験では、基礎免震構造を採用した大学の建築学科棟の計画が課題として出題された。免震エキスパンションジョイントの設置範囲の明示や車椅子使用者用駐車場の適切な配置など、実務的な設計能力が問われる内容となっている。
一級建築士設計製図試験に関する考察
令和6年度の試験結果から、建築士に求められる知識・技能の水準がより厳格化されていることが明確になっている。特に法令遵守への要求が強まっており、実務レベルでの確実な知識と応用力が必要不可欠となってきているのだ。
若年層の合格者増加は建築業界の将来に明るい兆しをもたらしているが、合格率の低下は試験の難度上昇を示している。早期からの体系的な学習と実践的な演習を組み合わせた効果的な試験対策が、今後ますます重要になってくるだろう。
建築士試験の厳格化は建築物の安全性と品質向上につながる重要な取り組みである。法改正による受験要件の緩和と試験内容の高度化という両輪により、より実践的な知識を持つ建築士の育成が進められていくだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「令和6年度 一級建築士 設計製図試験 合格発表試験結果を徹底分析!【総合資格】合格者数1764名で実績No.1を達成! | 株式会社総合資格のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000073.000060863.html, (参照 2025-01-08).