記事の要約
- 岡山大学病院がPARTNER試験の実施施設として追加
- 小児・AYA世代がん患者向けの医薬品アクセス改善を目指す
- 5社8医薬品が対象として無償提供される体制を構築
医師主導臨床研究PARTNER試験の開始と施設拡大
国立がん研究センター中央病院は2024年1月から患者申出療養制度を利用した医師主導臨床研究PARTNER試験を開始した。2024年9月には北海道大学病院と九州大学病院に実施施設が拡大され、2024年11月に4カ所目となる岡山大学病院が新たに追加されることになった。
実施施設の拡大により中四国各県や関西地方からのアクセスが向上し、より多くの小児・AYA世代がん患者が必要な医薬品を使用できる環境が整備された。研究に賛同した5社から8医薬品が無償提供され、今後も協力企業の拡大を目指している。
本研究の運営に必要な費用は研究費から支払われ患者負担はないが、検査料や入院料などは保険診療の範囲で患者負担となる仕組みだ。2024年12月26日に開催された岡山大学定例記者会見で公開された内容は医療アクセス改善の重要な一歩となっている。
PARTNER試験の実施体制概要
項目 | 詳細 |
---|---|
開始時期 | 2024年1月 |
実施施設 | 国立がん研究センター中央病院、北海道大学病院、九州大学病院、岡山大学病院 |
対象患者 | 小児・AYA世代のがん患者 |
医薬品提供 | 5社8医薬品(無償提供) |
費用負担 | 研究運営費は研究費から支払い、検査料・入院料は保険診療の範囲で患者負担 |
患者申出療養制度について
患者申出療養制度とは、保険外の治療を安全性・有効性を確認しながら、身近な医療機関で受けられるようにする制度のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 未承認薬や適応外薬の使用を可能にする
- 安全性と有効性を確認しながら治療を実施
- 患者からの申出を起点とした治療実施体制
PARTNER試験では患者申出療養制度を活用することで、小児・AYA世代のがん患者が必要な医薬品にアクセスしやすい環境を整備している。研究の趣旨に賛同した企業から無償提供された医薬品を使用することで、新たな治療選択肢を提供することが可能となっている。
PARTNER試験の実施拡大に関する考察
岡山大学病院への実施施設拡大は、中四国地方の小児・AYA世代がん患者の治療アクセス向上において重要な意味を持つ。特に国立がん研究センター中央病院までの移動が困難だった患者にとって、地理的なアクセシビリティが大幅に改善されることになるだろう。
今後の課題として、さらなる実施施設の拡大と対象医薬品の増加が挙げられる。医療機関と製薬企業の協力体制を強化し、より多くの患者が必要な治療を受けられる環境整備が求められているのだ。
また、臨床研究の成果を活用した薬事承認への道筋を確立することも重要な課題となる。患者申出療養制度を通じて得られたデータを活用し、小児・AYA世代のがん治療における新薬開発を加速させる必要があるだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「【岡山大学】小児・AYA世代を対象とする患者申出療養「PARTNER 試験」が岡山大学病院でも開始~小児・AYA世代がん患者のドラッグアクセスの改善を目指す~ | 国立大学法人岡山大学のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002813.000072793.html, (参照 2025-01-08).