岡山大学病院が国吉康雄の実寸大模写作品を展示開始、患者の癒しとホスピタルアートの新展開へ

岡山大学病院が国吉康雄の実寸大模写作品を展示開始、患者の癒しとホスピタルアートの新展開へ

PR TIMES より

記事の要約

  • 岡山大学病院で国吉康雄の実寸大模写作品を展示開始
  • 国吉祭2024プログラムとして岡山大学5D Lab.が協力
  • 半年に一回程度の間隔で展示替えを実施予定

岡山大学病院での国吉康雄模写作品展示の開始

岡山大学病院は2025年1月5日より総合診療棟1階において、岡山市出身でアメリカで活躍した洋画家で社会活動家の国吉康雄の実寸大模写作品の展示を開始した。この展示は岡山大学大学院教育学研究科が企画し、第22回おかやま県民文化祭と公益財団法人福武教育文化振興財団の支援を受けて実施される国吉祭2024のプログラムとして設置されている。

広島市立大学や筑波大学で油彩画を学ぶ画学生が画材と技法研究の一環として制作に挑んだ模写作品は、国吉康雄が実際に使用した画材を用いて制作された。経年による劣化を受けていない色彩の輝きは、国吉が完成させた当時の状態を再現しており、貴重な芸術作品として注目を集めている。

展示作品には最晩年の油彩画で画業の到達点と評価される「ミスターエース」や「安眠を妨げる夢」、最後の自画像となる「制作中」などが含まれている。岡山大学5D Lab.、岡山大学附属図書館と当院を巡回する形で、半年に一回程度の間隔で展示替えを行う計画が進められている。

国吉康雄模写作品展示の概要

項目 詳細
展示開始日 2025年1月5日
展示場所 岡山大学病院 総合診療棟1階
主な展示作品 ミスターエース、安眠を妨げる夢、制作中、ここは私の遊び場、夢
展示替え 半年に一回程度
巡回場所 岡山大学5D Lab.、岡山大学附属図書館、岡山大学病院

岡山大学病院

カゼインについて

カゼインとは、マットな質感の速乾性を持つ絵の具のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

  • マットな質感を生み出す独特の表現が可能
  • 速乾性に優れた扱いやすい絵の具
  • 薄く塗り重ねることで独特の色彩変化を表現

国吉康雄は後半生でカゼインを好んで使用し、代表作「少女よ、お前の命のために走れ」でもこの画材を採用している。薄く塗り重ねられた絵の具の層が生み出す色彩の変化は、カゼインならではの特徴的な表現技法として注目を集めており、展示作品でもその制作過程を詳しく紹介している。

国吉康雄模写作品展示に関する考察

岡山大学病院での国吉康雄模写作品の展示は、医療施設におけるアートの活用という点で画期的な取り組みといえる。ホスピタルアートの導入により、患者や職員に対して芸術による癒しの効果が期待でき、病院の環境改善にも大きく貢献するだろう。

実寸大模写作品の展示は、オリジナル作品では困難な経年劣化のない状態での鑑賞を可能にしている。画材研究の成果として制作された模写作品は、教育的価値も高く、今後の美術教育における新たな可能性を示唆している。

巡回展示という形式を採用することで、より多くの人々が国吉康雄の芸術に触れる機会を創出することができる。大学病院という医療機関と美術教育が連携したこの試みは、地域文化の発展と医療環境の向上という両面で大きな意義を持つものだ。

参考サイト/関連サイト

  1. PR TIMES.「【岡山大学】岡山大学病院で国吉康雄模写作品の展示を開始 | 国立大学法人岡山大学のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002829.000072793.html, (参照 2025-01-08).