記事の要約
- 2026年卒業予定者の内々定率が36.6%に到達
- 文系33.0%、理系43.8%と理系が先行して伸長
- 大手企業が年内から積極採用、5000人以上企業が42.9%
2026年卒業予定者の内々定状況から見る就職市場の動向
株式会社学情は2024年12月末時点の内々定獲得状況に関するアンケート調査を実施し、2026年3月卒業予定の大学生・大学院生の内々定率が36.6%に達したことを2025年1月8日に発表した。11月末調査時の16.9%から19.7ポイント増加し、昨年同時期比でも11.6ポイント上回る結果となっている。
文理別の内訳では、文系学生の内々定率が33.0%となり前月から17.6ポイント上昇したのに対し、理系学生は43.8%と前月から24.0ポイントの大幅な伸びを記録した。特に理系学生の内々定獲得が進んでおり、すでに4割を超える水準に到達している。
内々定を獲得した企業の従業員規模を分析すると、5000人以上の大手企業が全体の42.9%を占め最多となっている。次いで1000~2999人規模が25.3%、3000~4999人規模が11.7%となり、大手企業を中心に年内からの採用活動が活発化していることが明らかになった。
内々定獲得状況の詳細分析
全体 | 文系 | 理系 | |
---|---|---|---|
内々定率 | 36.6% | 33.0% | 43.8% |
前月比増加 | 19.7pt | 17.6pt | 24.0pt |
前年同期比 | +11.6pt | – | – |
内々定とは
内々定とは、企業が採用選考を通過した学生に対して、正式な内定前に示す事実上の採用内定のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 企業の採用意思を学生に早期に伝える非公式な確約
- 学生の進路決定と就職活動終了の判断材料として機能
- 通常、正式な内定に先立って年内から出される採用確約
内々定率の動向は、企業の採用意欲や業界・職種別の人材需要を把握する上で重要な指標となっており、就職市場全体の活性化度合いを示している。今回の調査では、特に大手企業による積極採用と理系人材への高い需要が顕著に表れている。
2026年卒業予定者の就職市場に関する考察
大手企業を中心とした積極的な採用姿勢は、人材確保競争の激化を反映している。特に理系人材の内々定率が43.8%と高水準に達していることから、デジタル化やテクノロジー革新に対応できる人材への需要が顕著になっているだろう。
一方で、文系と理系の内々定率の差が10.8ポイントに広がっていることは、採用市場の二極化が進んでいる可能性を示唆している。今後は文系学生の就職支援強化や、文理融合型の人材育成プログラムの充実が求められるだろう。
従業員規模5000人以上の大手企業による内々定が42.9%を占める現状は、学生の大手志向と企業の早期人材確保ニーズが合致した結果といえる。中小企業の採用活動にも影響を与える可能性があり、採用市場全体の動向を注視する必要がある。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「2026年卒学生の内々定率は12月末時点で<36.6%>。昨年同時期比11.6ポイント増。内々定を得た企業の規模は“5,000人以上”が<42.9%>を占める | 株式会社学情のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001347.000013485.html, (参照 2025-01-10).