関西大学が先端科学技術シンポジウムを開催、医工連携研究の成果報告で異分野融合を促進

記事の要約
- 関西大学が第29回先端科学技術シンポジウムを1月23日から開催
- 香川大学副学長の和田健司氏が特別講演で学際連携を解説
- 医学系研究機関との共同研究成果とKUMPの報告を実施
関西大学の第29回先端科学技術シンポジウム開催概要
関西大学は2025年1月23日から24日にかけて、千里山キャンパスで第29回先端科学技術シンポジウム「フィールドを超越する先端科学技術」を開催する予定だ。本シンポジウムでは特別講演1件、招待講演16件、一般講演37件およびポスターセッションを実施し、例年約1,000人の研究者が参加する大規模な学術交流イベントとなっている。
オープニングでは香川大学副学長の和田健司氏が「分野を跳躍する固体触媒技術~医学に関わる化学から水素エネルギーまで~」をテーマに講演を行い、学問領域を横断した共同研究によって生まれたシナジーについて解説する予定だ。両日にはポスターセッションを設け、23日には無料の交流懇親会も開催される。
また医学系研究機関との共同研究成果報告として、23日には関西大学・大阪医科薬科大学医工薬連環科学教育研究機構の研究発表会を、24日には関大メディカルポリマー(KUMP)による成果報告シンポジウムを同時開催する。医療機器開発から癌研究まで、幅広い分野での研究成果が共有される。
シンポジウムの研究分野まとめ
分野 | 研究テーマ |
---|---|
基礎科学 | 自然科学一般、ナノテクノロジー・材料研究、ライフサイエンス |
環境・エネルギー | 環境保全・資源再生、エネルギー |
技術応用 | 情報通信・エレクトロニクス、ものづくり、診断・評価 |
社会実装 | 生活支援、医工連携、社会基盤分野 |
安全・防災 | 安全・安心に資する科学技術、地震・防災研究、宇宙研究開発 |
医工連携研究について
医工連携研究とは、医学と工学の知見を組み合わせて新しい医療技術や機器を開発する学際的な研究分野のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- 医療現場のニーズと工学技術のシーズを結びつけた実践的研究
- 生体材料や医療機器の開発による治療効果の向上
- 学際的なアプローチによる革新的な医療ソリューションの創出
本シンポジウムでは医工連携の具体例として、顎骨再建におけるレーザー積層造形チタンデバイスの開発や、関大メディカルポリマーを活用した骨形成誘導研究などが報告される。これらの研究は基礎研究から臨床応用まで幅広い領域をカバーしており、医療技術の発展に大きく貢献することが期待される。
先端科学技術シンポジウムに関する考察
本シンポジウムの特筆すべき点は、多様な研究分野を横断的に結びつける場を提供していることにある。特に医工連携や産学連携の成果報告は、基礎研究を社会実装へと橋渡しする重要な機会となっている。ただし、異分野間の専門用語や研究手法の違いが、効果的な情報共有の障壁となる可能性も考えられる。
こうした課題に対しては、ポスターセッションや交流懇親会といった対話の場が有効な解決策となるだろう。研究者同士が直接対話することで、専門分野の垣根を越えた相互理解が深まり、新たな共同研究の創出につながることが期待される。今後は若手研究者向けのセッションや、オンラインでの参加機会の拡充も検討に値する。
さらに長期的な展望として、医工連携研究の成果を実臨床へと展開するためのロードマップ作成や、産業界との連携強化が重要となるだろう。医療現場のニーズと研究シーズのマッチングを効率的に進め、研究成果の社会実装を加速させることが求められる。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「◆第29回 関西大学先端科学技術シンポジウムを開催◆「フィールドを超越する先端科学技術」 | 学校法人関西大学のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000163.000013058.html, (参照 2025-01-15).