パラセーリング世界選手権銀メダリストの丹羽巧選手が海洋市民大学で講演、インクルーシブスポーツの可能性を語る

記事の要約
- ヨコハマ海洋市民大学が第8回講座を象の鼻テラスで開催
- パラセーリング世界選手権銀メダリストの丹羽巧氏が登壇
- インクルーシブセーリングの可能性と魅力を紹介
パラセーリング選手による海の魅力と可能性の講演
ヨコハマ海洋市民大学実行委員会は2025年1月9日に第8回講座「海へ。パラセーリングで世界を目指す~海とセーリング、その尽きない魅力」を象の鼻テラスで開催した。会場受講生15名とオンライン受講生15名、講師1名、ゲスト・実行委員8名の計39名が参加し、パラセーリング世界選手権で銀メダルを獲得した丹羽巧選手が講師を務めた。
丹羽選手は千葉県立磯辺高校でヨットを始め、19歳での事故による右足切断後もパラセーリングで活躍を続けている。2023年のパラセーリング世界選手権で銀メダル、2024年のアジア太平洋選手権では健常者との混合レースで優勝するなど、着実に実績を積み重ねてきた。
講座ではヨットレースの特徴や戦略、パラセーリングの魅力について詳しく解説が行われた。特にハンザクラスは障がいの種類や程度に関係なく参加できる特徴があり、インクルーシブな競技として注目を集めている。
丹羽巧選手の競技成績まとめ
大会名 | 開催年 | 順位 | 特記事項 |
---|---|---|---|
アジア太平洋選手権 | 2024年 | 第1位 | 健常者との混合レース |
パラセーリング世界選手権 | 2023年 | 第2位 | ハンザクラス |
パラセーリング世界選手権 | 2022年 | 第3位 | ハンザクラス |
ハンザクラスについて
ハンザクラスとは、インクルーシブセーリングのために開発された特別なヨットクラスのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 障がいの種類や程度に関係なく参加可能な設計
- 補助パーツの装着により個別のニーズに対応
- 一人乗りと二人乗りの種目を用意
ハンザクラスは身体能力の差を極力排除した設計となっており、首から下が動かない選手でも呼吸運動だけで操船可能な特殊なパーツも用意されている。このような特徴により、障がいの有無や程度に関係なく公平な競技が可能となり、インクルーシブスポーツの代表例として注目を集めている。
パラセーリングの普及に関する考察
パラセーリングは障がいの有無に関係なく参加できる特性を活かし、インクルーシブな社会実現のためのモデルケースとなる可能性を秘めている。特に企業研修としての活用は、多様性理解を深める実践的な機会として高い効果が期待できるだろう。
一方で、施設やサポート体制の整備、指導者の育成など、普及に向けては様々な課題が存在する。特に日本では欧米諸国と比べてインクルーシブスポーツへの理解や支援体制が十分とは言えない現状があるため、継続的な啓発活動と環境整備が必要となるだろう。
今後は公益財団法人日本セーリング連盟を中心に、企業や地域を巻き込んだ活動展開が期待される。パラセーリングを通じた交流機会の創出は、障がい者と健常者の相互理解を促進し、誰もが活躍できる社会づくりに貢献する可能性を持っている。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「ヨコハマ海洋市民大学2024年度講座第8回「海へ。パラセーリングで世界を目指す~海とセーリング、その尽きない魅力」を開催しました! | 海と日本プロジェクト広報事務局のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003187.000077920.html, (参照 2025-01-18).