アイキャットがQUON Perioを開発、歯周病原因菌の検査時間を18分に短縮し歯科診療の効率化を実現

記事の要約
- アイキャットが歯周病原因菌の迅速検査システムを開発
- 検査時間を従来の45分から18分に短縮し効率化を実現
- Red Complex菌の簡易検査が1回の測定で可能に
QUON Perioによる歯周病原因菌の迅速検査システム開発
大阪大学歯学部発ベンチャーの株式会社アイキャットは、歯科医院内で迅速に歯周病原因菌の細菌定量検査を可能とするチェアサイド細菌検査システム「QUON Perio」を2025年1月24日にリリースする予定だ。従来の歯周病治療は症状の改善に焦点を当てていたが、歯周病原因菌と症状の因果関係を紐解きながら治療を進めるアプローチが拡大している。
新システムの特徴として、歯科医院内での検査時間を従来の45分から約18分に短縮し、約60%の時間削減を実現した点が挙げられる。従来システムではRed Complexの測定に3回の検査が必要だったが、QUON Perioでは1回の測定で簡易的な同定が可能となり、135分かかっていた検査時間を18分まで大幅に短縮することに成功している。
さらに検体採取方法も改善され、既存システムで必要だった歯間ブラシによる専門的な手技が不要となり、患者自身による唾液検体での測定が可能になった。これにより、術者の技術に依存せず、標準的な診療時間内での細菌検査と結果に基づいた適切な治療計画の立案が実現可能となっている。
QUON Perioの機能まとめ
項目 | 詳細 |
---|---|
検査時間 | 約18分(従来比約60%削減) |
測定対象 | Red Complex(P.g菌、T.f菌、T.d菌) |
検体採取 | 唾液検体(患者自身で採取可能) |
装置サイズ | 200×100×50mm(約560g) |
対応OS | Windows 10/11(32bit/64bit) |
Red Complexについて
Red Complexとは、歯周病の原因となる3種類の細菌群の総称を指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- P.g菌、T.f菌、T.d菌の3種で構成される悪玉細菌群
- 歯周病の進行に深く関与する主要な原因菌
- 細菌量により歯周病のリスクレベルを判定可能
Red Complexの検査結果は、口腔内総菌数に対する割合で評価され、0.1%以下をローリスク、0.1〜0.5%をミドルリスク、0.5〜5%をミドルハイリスク、5%以上をハイリスクと判定する。この判定基準は日本歯周病学会のガイドラインに準拠しており、治療方針の決定や経過観察に活用されている。
QUON Perioに関する考察
QUON Perioの開発により、歯周病診療における検査から治療までのワークフローが大きく改善される可能性が高い。特に検査時間の大幅な短縮と患者自身による検体採取が可能になったことで、歯科医院の業務効率化と患者の負担軽減が同時に実現されるだろう。
今後の課題として、検査装置の導入コストや維持費用、保険適用の可能性などが考えられる。これらの課題に対しては、リース契約やサブスクリプションモデルの導入、保険収載に向けた臨床データの蓄積などが解決策として考えられるだろう。
将来的には他の口腔内細菌への検査対象の拡大や、AIを活用した診断支援機能の追加が期待される。さらに海外展開も視野に入れており、グローバルな歯科医療の発展に貢献する可能性を秘めている。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「阪大歯学部発ベンチャーのアイキャット、歯科医院内で迅速に歯周病原因菌の検査が可能なチェアサイド細菌検査システム「QUON Perio(クオン ペリオ)」を開発、検体採取から検査完了まで約18分を実現。 | 株式会社アイキャットのプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000075651.html, (参照 2025-01-22).