記事の要約
- 東京観光財団がおでかけウォッチャーによる訪問者分析を公表
- 都内区市町村別の訪問者傾向を月別と曜日別で分類
- 遠隔地からの訪問者属性に関する特徴を地域ごとに分析
東京観光財団による都内訪問者の行動傾向分析
公益財団法人東京観光財団は、株式会社ブログウォッチャーが提供する人流データを活用した観光動態分析ツール「おでかけウォッチャー」による都内訪問者の行動傾向分析レポートを2024年12月23日に公開した。東京都立大学都市環境学部観光科学科ツーリズム・モビリティ計画学研究室と協力し、約1,900か所のモニタリング地点における訪問者の動向把握に努めている。
都内区市町村の訪問者数について月変動と曜日変動のクラスター分析を実施し、地域ごとの特徴的なパターンを明らかにした。千代田区や中央区などでは訪問者数が通年で安定しており業務目的の来訪が多い一方で、府中市や調布市などでは冬季や夏季の土日に訪問者が集中する傾向が見られる。
遠隔地からの訪問者に関する分析では、全国から幅広く集客している地域と特定地域からの来訪が多い地域の差異が判明した。千代田区や中央区などでは性別や年齢による偏りが少なく、新宿区や中野区では若者層の来訪が特に多いことが明らかになっている。
都内訪問者の行動傾向分析の詳細
通年安定型地域 | 季節集中型地域 | 若者集中型地域 | |
---|---|---|---|
代表地域 | 千代田区、中央区、港区 | 府中市、調布市、武蔵村山市 | 新宿区、中野区 |
来訪傾向 | 平日金曜日に増加 | 冬季・夏季の土日に集中 | 若年層の利用が多い |
特徴 | 業務目的の訪問が多い | オフピーク時の集客に課題 | 年齢層に偏りあり |
人流データについて
人流データとは、人々の移動や滞在に関する情報を数値化したデータのことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- 位置情報を活用した人の動きの可視化が可能
- 地域や時間帯ごとの来訪者数の把握に有効
- 観光動態分析や地域活性化の指標として活用
観光分野における人流データの活用は、地域の特性把握や効果的な施策立案に貢献している。観光スポットへの訪問者数や属性分析、季節変動の把握など、データに基づく観光戦略の立案を可能にすることで、より効果的な観光振興につながっている。
都内訪問者の行動傾向分析に関する考察
地域ごとの訪問パターンが明確になったことで、各自治体は自地域の特性を活かした観光施策の立案が可能になると考えられる。特に季節変動の大きい地域では、オフシーズン対策として地域資源の掘り起こしや新たなイベントの企画など、通年での集客施策の検討が求められるだろう。
遠隔地からの訪問者分析により、ターゲット層に応じたプロモーション戦略の最適化が期待できる。年齢や性別による偏りの少ない地域では幅広い層への訴求が効果的である一方、若者層が多い地域ではSNSを活用した情報発信など、世代に合わせた施策展開が有効だろう。
今後はインバウンド版の導入も検討されており、より包括的な観光動態の把握が可能になると期待される。データに基づく観光戦略の立案により、各地域の特性を活かした効果的な観光振興が実現できる可能性が高まっている。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「東京観光財団が東京都立大学と協力した「人流データを活用した都内訪問者の行動傾向」レポートを公表 | 公益財団法人東京観光財団のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000030.000037225.html, (参照 2025-01-08).