京都大学とヤンマーアグリが産学共同講座を開設、データ駆動型サステナブル農業の実現へ向け5年間の共同研究を開始

記事の要約
- 京都大学とヤンマーアグリが産学共同講座を新設
- データ駆動型サステナブル農業の共同研究を5年間実施
- 自動運転・電動技術の向上とデータ収集システムを確立
京都大学とヤンマーアグリの産学共同講座開設
京都大学大学院農学研究科とヤンマーアグリ株式会社は、持続可能な食料生産の実現に向けて2025年2月1日に産学共同講座「ヤンマーデータ駆動型サステナブル農業講座」を開設した。本講座では自動運転・電動技術の向上に加え、クラウド上でほ場や作物状況、土壌分析などのデータを収集し、遠隔農業マネジメントを行うデータ駆動型農業システムの確立を目指している。
本共同講座には京都大学大学院農学研究科から飯田訓久教授、野口良造教授、近藤直教授、中野龍平教授が、京都大学大学院地球環境学堂から西前出教授が参画している。さらにヤンマーアグリ株式会社からは日髙茂實特定教授、藤原正幸特定准教授、田中伸明特定助教、田中徹士特定助教、脇坂裕昭特定助教が加わり、専門的な知見を結集する体制を整えた。
共同研究の実証内容として、自動運転農機・電動農機などのDX技術を用いた作業体系の確立や、再生可能エネルギーを利用した電動農機での一貫作業体系の構築を進めている。また有機肥料利用の実測・分析や有用微生物による資源循環・省資材化の研究も行い、次世代の持続的食料生産を担う技術者・研究者の育成にも注力していく。
産学共同講座の概要
項目 | 詳細 |
---|---|
講座名称 | ヤンマーデータ駆動型サステナブル農業講座 |
実施期間 | 2025年2月1日~2030年1月31日(5年間) |
実施場所 | 京都大学大学院農学研究科、農学研究科附属木津農場、ヤンマーアグリ株式会社研究開発拠点 |
主な実証内容 | DX・GX技術を用いた作業体系、電動農機での一貫作業、有機肥料利用分析、資源循環研究 |
参画教員数 | 京都大学側5名、ヤンマーアグリ側5名 |
データ駆動型農業システムについて
データ駆動型農業システムとは、農業におけるさまざまなデータを収集・分析し、効率的な農業経営を実現するための仕組みのことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- ほ場や作物状況のリアルタイムモニタリング
- 土壌分析データに基づく最適な栽培管理
- 遠隔での農業マネジメント実現
本産学共同講座では、自動運転・電動技術と組み合わせることで、より高度なデータ駆動型農業システムの構築を目指している。クラウド上でのデータ収集・分析により、農作業の効率化と環境負荷の低減を同時に実現する持続可能な農業生産システムの確立が期待されている。
産学共同講座に関する考察
本産学共同講座の開設により、アカデミアとビジネスの知見を融合した実践的な研究開発が可能となることは大きな利点である。特に京都大学の持つ専門的知識とヤンマーアグリの技術力を組み合わせることで、持続可能な農業の実現に向けた具体的な成果が期待できるだろう。
一方で、データ駆動型農業システムの普及には、農家の理解と受容が不可欠となる課題が存在している。システムの導入コストや運用面での負担を軽減し、実際の農業現場で活用しやすい形での技術開発が求められるだろう。
将来的には、本講座での研究成果を基に、より多くの農業従事者がデータ駆動型農業を実践できる環境の整備が望まれる。特に次世代を担う技術者・研究者の育成を通じて、持続可能な農業のさらなる発展と普及が進むことを期待したい。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「京都大学農学研究科に産学共同講座「ヤンマーデータ駆動型サステナブル農業講座」を開講 | ヤンマーホールディングス株式会社のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000295.000034384.html, (参照 2025-03-04).