IGNITIONが旧平岡小学校幽谷分校跡地でアクアポニックス事業を展開、障がい者就労支援と地域活性化を推進

記事の要約
- IGNITIONが旧平岡小学校幽谷分校跡地利活用事業の優先交渉権者に選定
- アクアポニックス技術と障がい者就労支援を組み合わせた事業展開へ
- 高麗人参の年間1,500kg生産と障がい者の工賃向上を目指す
株式会社IGNITIONによる廃校活用事業の展開
株式会社IGNITIONは2025年2月28日、千葉県袖ケ浦市の旧平岡小学校幽谷分校跡地利活用事業において、校舎側の優先交渉権者として正式に選定された。IGNITIONは障がい者就労支援事業所の運営実績と独自のアクアポニックス技術を組み合わせ、高麗人参の安定生産と地域の雇用創出を同時に実現する取り組みを進めることになる。
既存の就労継続支援B型事業所「わくぽに」では利用者の平均月収が約16,000円であったが、本プロジェクトでは約45,000円を目指し、地域の障がい者の収入向上と生活の質の改善を図る計画だ。水産養殖と水耕栽培を組み合わせた循環型のアクアポニックスを導入することで、環境に優しい生産体制を構築する予定である。
さらにIGNITIONは、レスリング日本一・日本代表の経験を持つメンバーが指導する「IGNITION ACADEMY」を運営しており、約45名の子どもたちがレスリングに取り組んでいる。廃校利活用により、アクアポニックス事業とスポーツ教育の両立を図り、地域交流・学習の場を創出することを目指すのだ。
IGNITIONの事業計画まとめ
障がい者就労支援 | アクアポニックス事業 | 地域活性化 | |
---|---|---|---|
主な目標 | 月収45,000円への向上 | 高麗人参1,500kg/年の生産 | 地域のにぎわい創出 |
特徴 | 段階的な雇用拡大 | 環境負荷の少ない循環型農法 | スポーツ教育との連携 |
実施内容 | 支援スタッフによるサポート | 淡水魚の飼育水活用 | 直売所の設置検討 |
アクアポニックスについて
アクアポニックスとは、水産養殖と水耕栽培を組み合わせた循環型の農業システムのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 淡水魚の飼育水を植物栽培に再利用する環境配慮型システム
- 化学肥料が不要で排水リスクが少ない持続可能な農法
- 水産物と農作物の同時生産が可能な効率的な生産方式
IGNITIONが導入するアクアポニックスシステムでは、錦鯉の飼育水を高麗人参の栽培に活用することで、環境負荷を抑えながら高品質な農産物の生産を実現する。この技術により、年間1,500kgの高麗人参生産を目標とし、地域発の新たな農業モデルの確立を目指している。
廃校活用型アクアポニックス事業に関する考察
IGNITIONの事業計画は、障がい者就労支援とアクアポニックス技術を組み合わせることで、社会福祉と環境配慮型農業の両立を実現する画期的な取り組みである。特に既存の就労支援施設での平均月収16,000円から45,000円への増額目標は、障がい者の経済的自立支援という観点で大きな意義を持つだろう。
一方で、アクアポニックスによる高麗人参栽培は比較的新しい試みであり、安定的な生産体制の確立には技術面での課題が予想される。生産規模の拡大に伴う品質管理や、気候変動への対応など、持続可能な運営のためには継続的な技術改良と人材育成が必要不可欠だ。
廃校活用とレスリングスクールとの連携は、地域コミュニティの活性化に向けた独自の取り組みとして注目に値する。スポーツ教育と農業体験を組み合わせた教育プログラムの開発や、地域住民との交流機会の創出など、多面的な価値創造が期待できるだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「千葉県袖ケ浦市「旧平岡小学校幽谷分校跡地利活用事業」において株式会社IGNITIONが優先交渉権者に選定 | 株式会社IGNITIONのプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000120301.html, (参照 2025-03-04).