大阪工業大学が消防防災活動向けドローンを開発、電波探知センサーで行方不明者捜索の効率化を実現

記事の要約
- 大阪工業大学が消防防災活動用ドローンの研究を紹介
- 電波探知センサー搭載ドローンで行方不明者捜索を効率化
- 高知市消防局と共同で実証実験を実施し成果を確認
大阪工業大学が開発する消防防災活動向けドローンシステム
大阪工業大学は2025年3月4日、ネットワークデザイン学科の樫原茂准教授による消防防災活動向けドローンの研究開発を公開した。東日本大震災をきっかけに開始されたこの研究では、モバイルネットワーク技術とドローンを組み合わせることで、災害時の被害状況把握や救助活動の効率化を目指している。
研究チームは高知市消防局と共同研究協定を締結し、実践的な実証実験を進めている。特に注目すべき成果として、スマートフォンやゲーム端末から発せられる電波を検知できるセンサーを搭載したドローンの開発に成功し、山間部での行方不明者捜索への応用可能性を確認した。
従来の上空からの映像撮影に加え、電波情報を活用することで捜索範囲を効率的に絞り込むことが可能となった。この新技術により、救助活動の大幅な時間短縮が期待できることから、防災活動における実用化に向けた取り組みが加速している。
消防防災活動向けドローンの特徴
基本機能 | 応用技術 | 期待される効果 | |
---|---|---|---|
主な特徴 | 空撮による状況把握 | 電波探知センサー | 救助時間の短縮 |
活用場面 | 災害現場調査 | 行方不明者捜索 | 捜索範囲の絞り込み |
モバイルネットワークについて
モバイルネットワークとは、携帯電話やスマートフォンなどの移動通信機器で使用される無線通信システムのことを指している。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 場所を問わず通信が可能な移動体通信システム
- 電波を使用した無線通信技術
- スマートフォンやゲーム機などの通信に利用
災害救助活動においてモバイルネットワークは、要救助者が所持する通信機器からの電波を検知する手がかりとして活用できる。行方不明者捜索では、この電波情報を活用することで捜索範囲を効率的に絞り込むことが可能となり、より迅速な救助活動につながることが期待される。
消防防災活動向けドローンに関する考察
消防防災活動向けドローンの開発において、電波探知センサーの実装は画期的な進展といえる。従来の目視による捜索に加えて電波情報を活用することで、特に視界不良時や夜間における捜索活動の効率が大幅に向上することが期待できるだろう。
今後の課題として、天候や地形による電波の減衰や反射への対応が挙げられる。これらの技術的課題に対しては、AIによる電波パターン分析や複数ドローンの連携による三次元的な電波源特定など、さらなる研究開発が必要となるだろう。
また、プライバシーの観点から、捜索対象者以外の電波情報の取り扱いについても慎重な検討が必要となる。電波情報の収集・利用に関するガイドラインの整備や、個人情報保護に配慮したシステム設計が今後の実用化に向けた重要な課題となるだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「【大阪工業大学】消防防災活動にドローンを役立てる | 学校法人常翔学園のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000140284.html, (参照 2025-03-05).