記事の要約
- 多摩美術大学でウクライナ復興に向けたリサイクルコンクリート研究を展示
- がれきを活用した環境配慮型の建築材料開発を推進
- 展示は2025年1月13日まで東京ミッドタウン・デザインハブで開催
多摩美術大学のリサイクルコンクリート技術研究展示
多摩美術大学は、東京ミッドタウン・デザインハブで開催中の第111回企画展「デザインの風が最初に触れる場所」にて、ウクライナ復興に向けたリサイクルコンクリート技術の研究展示を2024年12月23日より開始した。プロダクトデザイン研究室のアリサ・チェン研究員が、東京大学生産技術研究所の技術と東日本大震災の経験を組み合わせた環境配慮型の復興手法を提案している。
東京大学生産技術研究所が開発したリサイクルコンクリート技術は、建物がれきを再利用することで材料輸送に伴うエネルギーとCO2排出を抑制することが可能だ。この技術は従来のコンクリートと同等の強度を保ちながら、製造工程での温室効果ガス排出も大幅に削減できる特徴を持っている。
東日本大震災で実践された「東松島方式」は、がれきの手作業による分別で資源としての活用を可能にした実績がある。この方式は熊本や能登の震災復興でも採用され、被災地のコミュニティ形成にも貢献しており、ウクライナ復興への応用が検討されている。
環境配慮型復興技術の展示概要
項目 | 詳細 |
---|---|
展示会名 | デザインの風が最初に触れる場所 |
会期 | 2024年12月2日~2025年1月13日 |
開催時間 | 11:00~19:00 |
会場 | 東京ミッドタウン・デザインハブ |
入場料 | 無料 |
主な展示内容 | リサイクルコンクリートブロック、研究ロードマップ、ウクライナの建物がれき |
リサイクルコンクリートについて
リサイクルコンクリートとは、建物がれきを再利用して製造される環境配慮型の建築材料のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 従来のコンクリートと同等の強度を実現
- 製造工程でのCO2排出量を大幅に削減
- 材料輸送に伴うエネルギー消費を抑制
このリサイクルコンクリート技術は、東日本大震災での災害がれき処理のノウハウと組み合わせることで、より効果的な循環型の復興を可能にする。被災地の文化や人々の想いを継承しながら、環境負荷を最小限に抑えた復興を実現する新たな選択肢となっている。
リサイクルコンクリート技術の復興活用に関する考察
リサイクルコンクリート技術は、環境負荷の低減と被災地の文化継承という二つの課題を同時に解決する可能性を持っている。現地のがれきを活用することで輸送コストと環境負荷を抑えられるだけでなく、被災地の記憶を物理的に継承できる点も大きな利点となっている。
一方で、大規模な復興事業における品質管理や生産効率の確保が今後の課題として浮上する可能性がある。建築基準法への適合性や製造プロセスの標準化、作業員の技術教育など、実用化に向けては多くの課題を解決する必要があるだろう。
ウクライナの復興において、この技術が果たす役割は極めて重要だ。環境への配慮とコミュニティの再生を両立させる手法として、今後さらなる研究開発と実証実験を重ねることで、より効果的な復興支援の手段となることが期待される。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「ウクライナからの留学生による同国復興を見据えたがれきを利用するリサイクルコンクリートの研究展示をスタート | 学校法人 多摩美術大学のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000150.000034331.html, (参照 2025-01-08).