記事の要約
- 島根県立大学の村岡詩織講師がHCD-Net学術奨励賞を受賞
- 視覚障害者の投票プロセスに関する研究が評価
- 投票所での課題調査と解決策の提案を実施
島根県立大学村岡詩織講師のHCD機構学術奨励賞受賞
島根県立大学地域政策学部地域づくりコース村岡詩織講師が特定非営利活動法人人間中心設計推進機構の学術奨励賞を受賞し、2024年12月1日に表彰式が執り行われた。受賞対象となった論文は「人間中心設計」20巻1号に掲載された『視覚に障がいのある有権者の投票プロセスに関する研究』である。
本研究は投票所自書投票主義を基本とする現行の投票制度下において、選挙権の行使に困難を抱える視覚障害者の投票実態を明らかにしたものである。公共サービスデザインのアプローチに基づき、投票を行う側と運営する側の双方に対する調査を重ねた点が高く評価された。
第三者による調査が及んでこなかった投票所内の課題調査を実施し、解決策の試作と評価を通じて視覚障害のある有権者の投票障壁を解消するための要件を導き出した点に特徴がある。この研究成果は、より包括的な投票システムの実現に向けた重要な一歩となっている。
HCD機構学術奨励賞の概要
項目 | 詳細 |
---|---|
賞の名称 | 特定非営利活動法人人間中心設計推進機構 学術奨励賞 |
選考対象 | 機構誌「人間中心設計」掲載の査読付き論文 |
受賞論文 | 『視覚に障がいのある有権者の投票プロセスに関する研究』 |
掲載誌 | 「人間中心設計」20巻1号(2024年発行) |
受賞者所属 | 島根県立大学地域政策学部地域づくりコース |
人間中心設計について
人間中心設計(HCD)とは、製品やサービスの設計において人間の体験や認知を起点とした手法のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- ユーザーの利用実態を的確に把握し設計に反映
- 試作と評価の繰り返しによる包括的な体験向上
- ユニバーサルデザインとアクセシビリティの実現
人間中心設計は公共サービスの改善において特に重要な役割を果たしている。視覚障害者の投票プロセス研究においても、この設計手法を用いることで具体的な課題の抽出と実効性のある解決策の提案が可能となっている。
視覚障害者の投票プロセス研究に関する考察
公共サービスにおけるバリアフリー化の取り組みは着実に進んでいるものの、投票所における視覚障害者への配慮は十分とは言えない現状がある。本研究は投票を行う側と運営する側の双方の視点から課題を分析することで、より実践的な解決策の提案に成功している。
今後は研究で得られた知見を実際の選挙現場に応用していく過程で、運用面での課題が浮き彫りになる可能性がある。しかし、異なる障がい種別間に共通する投票障壁の解明を進めることで、より包括的な解決策の開発につながることが期待される。
研究成果の社会実装に向けては、選挙管理委員会との緊密な連携が不可欠となるだろう。投票所運営に関する実務的な課題を一つ一つ克服しながら、すべての有権者にとって利用しやすい投票環境の実現を目指すことが重要である。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「村岡詩織講師がHCD(人間中心設計)機構「学術奨励賞」を受賞【島根県立大学】 | 公立大学法人島根県立大学のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000128.000088950.html, (参照 2025-01-08).