明治大学と株式会社クロス・マーケティングが都市設計の共同研究を発表、緑と自然が居住意向に与える効果の違いを実証

明治大学と株式会社クロス・マーケティングが都市設計の共同研究を発表、緑と自然が居住意向に与える効果の違いを実証

PR TIMES より

記事の要約

  • 明治大学と株式会社クロス・マーケティングが都市設計の共同研究を発表
  • 緑と自然が居住意向に与える効果の違いを実証的に検証
  • 日本の政令指定都市住民を対象に9パターンの都市で調査を実施

緑と自然の居住意向への効果に関する共同研究の発表

明治大学商学部の加藤拓巳専任講師と株式会社クロス・マーケティングは、2024年12月25日に日本マーケティング学会カンファレンス2024にて「都市の象徴的存在である緑と自然が居住意向に与える影響の比較」を発表した。本研究は日本の政令指定都市住民を対象に、住宅や公的施設、商業施設、緑、自然の属性を変えた9つの都市サンプルを生成し、居住意向への影響を検証したものである。

研究の結果、日本の都市において緑は居住意向を高める一方で、自然は居住意向を低めるという対照的な効果が実証された。この発見は人口減少時代を迎える日本のコンパクトシティ構築において重要な示唆を与えるものであり、自治体や企業に実用的なアプローチを提供している。

都市は消費財や耐久消費財と比較してやり直しや作り直しが困難な巨大な製品であるにもかかわらず、実験による仮説検証が乏しい状況にあった。本研究は住民視点から緑と自然の効果を実証的に明らかにすることで、都市設計における重要な知見を提供することに成功している。

研究結果の詳細まとめ

緑の効果 自然の効果 研究手法
影響 居住意向を向上 居住意向を低下 9パターンの都市サンプル調査
事例 ハイドパーク、セントラルパーク 南山、テムズ川 住宅、公的施設、商業施設を含む
対象 政令指定都市住民 政令指定都市住民 観察・実験の両面から検証

研究詳細

コンパクトシティについて

コンパクトシティとは、都市の中心部に行政、商業、住居等の都市機能を集約し、効率的でまとまりのある都市構造を目指す概念である。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

  • 都市機能の効率的な集約による社会コストの削減
  • 環境負荷の低減と持続可能な都市運営の実現
  • 高齢化社会に対応した利便性の高い生活圏の形成

急速な人口減少が予測される日本において、コンパクトシティの実現は都市の持続可能性を確保する上で重要な課題となっている。明治大学と株式会社クロス・マーケティングの共同研究は、緑と自然が居住意向に与える影響を明らかにすることで、より効果的なコンパクトシティ構築への示唆を提供している。

緑と自然の居住意向への影響に関する考察

緑と自然が居住意向に異なる影響を与えるという研究結果は、都市設計における重要な指針となり得る可能性を示している。緑が居住意向を高める要因として、管理された安全性や利便性が挙げられ、都市部における公園や緑地の戦略的な配置が住民の生活満足度向上に寄与することが期待できるだろう。

一方で、自然が居住意向を低める要因については、日本特有の災害リスクとの関連性について更なる研究が必要となる。河川や山などの自然環境が持つリスクと、それらがもたらす恩恵のバランスを考慮した都市計画が求められることになるだろう。

今後のコンパクトシティ構築においては、緑地計画と防災計画を統合的に検討することが重要である。住民の居住意向を高めつつ、安全性と快適性を両立させた都市空間の創出に向けて、本研究の知見を活用することが期待される。

参考サイト/関連サイト

  1. PR TIMES.「都市設計に向けた緑と自然の居住意向への効果の違いを実証−明治大学加藤拓巳専任講師と株式会社クロス・マーケティングの共同研究成果を日本マーケティング学会カンファレンス2024にて発表− | 学校法人明治大学のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000177.000119558.html, (参照 2025-01-08).