一橋大学が三井住友銀行と日本総研と連携、ソーシャル・データサイエンス学部のPBL演習で実践的教育を強化

記事の要約

  • 一橋大学がPBL演習を2025年度から開講
  • 三井住友銀行と日本総研が講師派遣とデータ提供
  • 実践的なデータサイエンス教育を強化

一橋大学のデータサイエンス教育強化プログラム

株式会社三井住友銀行と株式会社日本総合研究所は一橋大学と協力し、2025年度からソーシャル・データサイエンス学部で開講されるPBL演習において講師派遣とデータ提供を行うことを2024年12月26日に発表した。一橋大学は2023年度にソーシャル・データサイエンス学部を新設しており、3年次必修科目として実践的な学びを提供する体制を整えている。

三井住友銀行は顧客データを活用したビジネス課題の解決をテーマに講師派遣とデータ提供を実施することで、実際の業務フローに基づく体験を通じた学習機会を創出する。日本総研先端技術ラボは合成データ生成技術を活用し、個人情報を保護しながら実世界の特徴を反映したデータを作成することになった。

本プログラムはSMBCグループの中期経営計画における「日本の再成長」という重点課題に基づく取り組みの一環として位置づけられている。データサイエンス分野における次世代人材の育成を通じて、技術革新と社会変化が加速する現代における課題解決能力の向上を目指すことになった。

PBL演習の概要

項目 詳細
開講時期 2025年度
対象学部 ソーシャル・データサイエンス学部
科目区分 3年次必修科目
提供企業 三井住友銀行、日本総合研究所
主な内容 顧客データを活用したビジネス課題解決
特徴 合成データ生成技術による個人情報保護対策

Privacy-Enhanced-Technologiesについて

Privacy-Enhanced-Technologies(PETs)とは、個人情報やプライバシーを保護するための先端技術の総称であり、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

  • 個人情報の匿名化と保護を実現する技術基盤
  • 実データの特徴を維持しながら個人特定を防止
  • データ活用と個人情報保護の両立を実現

本プログラムでは日本総研先端技術ラボがPETsの一つである合成データ生成技術を活用し、個人の特定ができない形でデータを提供する。実世界の特徴を反映しながら個人情報を保護したデータ作成により、実践的な分析演習と情報セキュリティ教育の両立が可能となっている。

データサイエンス教育強化に関する考察

一橋大学のPBL演習における産学連携は、実践的なデータ活用スキルと情報倫理の双方を学ぶ機会として極めて重要な意義を持っている。特に金融機関の実データに基づく演習は、理論と実務の橋渡しとなり、即戦力となる人材育成に大きく貢献することが期待できるだろう。

今後の課題として、データの更新頻度や演習内容の陳腐化への対応が挙げられる。金融業界のデジタル化は急速に進んでおり、提供されるデータや課題が現場のニーズから乖離する可能性も考えられるため、カリキュラムの継続的な見直しと更新が必要となってくるだろう。

長期的には企業との連携をより深化させ、インターンシップやジョブマッチングまでを視野に入れた包括的な人材育成プログラムへと発展させることが望ましい。データサイエンティストの需要は今後も増加が見込まれており、産学連携による実践的な教育プログラムの重要性は一層高まっていくはずだ。

参考サイト/関連サイト

  1. PR TIMES.「一橋大学におけるデータサイエンス教育強化の産学連携PBL(Project-Based-Learning)演習の実施について | 株式会社日本総合研究所のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000068011.html, (参照 2025-01-08).