記事の要約
- イムノセンスとユーフォリアが箱根駅伝選手のコンディショニングをサポート
- GLEIAを活用した疲労度の可視化システムを導入
- 唾液中のバイオマーカー測定で疲労状態を把握
GLEIAを活用した箱根駅伝選手のコンディショニングサポートシステム開発
株式会社イムノセンスは株式会社ユーフォリアと共同で、2025年の箱根駅伝に挑む関東学生連合チームの2名の選手に対し、独自技術GLEIAを活用したコンディショニングサポートを2024年12月26日に発表した。GLEIAを用いた超小型免疫測定機器で選手の唾液中に含まれる疲労に関連するバイオマーカーを測定し、リアルタイムで疲労度を可視化することが可能になった。
ユーフォリアが提供するSaaS型データマネジメントシステム「ONE TAP SPORTS」から得られる体調・体重・睡眠・食事・トレーニング負荷などのデータをGLEIAによる測定結果と組み合わせることで、より詳細な疲労度の把握が実現した。大阪大学産業科学研究所の民谷栄一特任教授によって開発されたGLEIA技術は、1兆分の1グラムという高感度での測定を実現している。
イムノセンスは2018年の設立以来、GLEIA技術を応用した製品開発を継続的に行ってきた。2021年8月には体外診断用医薬品製造販売業許可を取得し、2022年5月に第一弾製品の薬機届出を完了、2023年9月には第三種医療機器製造販売業も取得している。
GLEIAシステムの特徴まとめ
GLEIA技術 | ONE TAP SPORTS | |
---|---|---|
主な機能 | 唾液中バイオマーカー測定 | 体調・トレーニングデータ管理 |
特徴 | 超小型免疫測定機器 | SaaS型システム |
測定感度 | 1兆分の1グラム | リアルタイムデータ収集 |
バイオマーカーについて
バイオマーカーとは、生体内の生物学的変化を定量的に測定・評価できる指標のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- 体内の生理的変化を数値化して評価可能
- 疾病の診断や治療効果の判定に活用
- 生体サンプルから非侵襲的に測定可能
GLEIAシステムでは、選手の唾液中に含まれるバイオマーカーを高感度で測定することで疲労状態を定量的に評価することが可能となる。この技術により、従来は主観的な評価に頼っていた選手のコンディション管理を、客観的なデータに基づいて行えるようになっている。
GLEIAを活用したコンディショニングサポートに関する考察
GLEIAとONE TAP SPORTSを組み合わせたシステムは、選手の体調管理を科学的かつ包括的に行える画期的なソリューションとして評価できる。特に箱根駅伝のような過酷なレースに向けた準備において、客観的なデータに基づくコンディショニングは極めて重要な意味を持つだろう。
今後の課題として、測定データの蓄積と分析による個人差への対応が挙げられる。選手それぞれの体質や特性に応じた最適なトレーニング計画の立案には、より多くのデータ収集と解析が必要になるだろう。また、測定機器のさらなる小型化や操作性の向上も期待される。
将来的には、このシステムを他のスポーツ種目や一般アスリートへも展開することで、スポーツ医科学の発展に寄与することが期待できる。特に、ジュニア選手の育成現場での活用や、怪我の予防に向けた早期警告システムとしての応用も視野に入れるべきだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「大阪大学発スタートアップのイムノセンス、スポーツテック企業のユーフォリアと共同で、新春の箱根を駆け抜ける学生ランナーのコンディショニングをサポート | 株式会社イムノセンスのプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000077216.html, (参照 2025-01-08).