記事の要約
- 叡啓大学で国際シンポジウム「ブルークレジットの現状と将来」を開催
- 5名の学生が英語・日本語の逐次通訳を担当
- 海洋政策やブルーカーボンに関する専門家5名が講演
叡啓大学の国際シンポジウムと学生の逐次通訳
叡啓大学は公益社団法人化学工学会環境部会水環境分科会が主催する国際シンポジウム「ブルークレジットの現状と将来」を2024年12月10日に開催した。本シンポジウムでは下ヶ橋雅樹教授がオーガナイザーを務め、4年生の吉本考希さん、小川ジョナサン海晟さん、NGUYEN THI MY Hanhさん、2年生のDOAN THI TRANG Nhungさん、INOUE Jocehiro Dayonさんの5名が通訳として参加した。
シンポジウムではユネスコ政府間海洋学委員会議長の道田豊氏をはじめとする5名の専門家が、海洋・沿岸生態系による炭素吸収に関する「ブルーカーボン」の科学技術的側面と社会実装について講演を行った。遠隔と対面を合わせて68名が参加し、海洋環境保全に向けた最新の取り組みについて活発な議論が展開された。
学生通訳チームは英語から日本語、日本語から英語の双方向の通訳を担当し、専門性の高い内容を正確に伝える役割を果たした。G7広島サミットでの学生通訳ボランティア経験者も含まれており、国際会議での実践的な通訳スキルを発揮する機会となった。
国際シンポジウムの開催概要
項目 | 詳細 |
---|---|
開催日時 | 2024年12月10日 |
主催 | 公益社団法人化学工学会 環境部会水環境分科会 |
後援 | 叡啓大学 |
参加人数 | 68名(遠隔・対面合計) |
学生通訳 | 5名(4年生3名、2年生2名) |
ブルークレジットについて
ブルークレジットとは、海草藻場などの海洋・沿岸生態系が吸収する炭素である「ブルーカーボン」を対象とする新たなカーボンクレジットのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 海洋・沿岸生態系による炭素吸収機能を活用
- 環境保全と経済的価値の両立を実現
- 気候変動対策の新たな選択肢として注目
ブルークレジットは企業のカーボンニュートラル達成に向けた取り組みの一環として注目を集めており、株式会社ひろぎんホールディングスや日本製鉄株式会社などが具体的な活用を検討している。マングローブ植林や鉄鋼副産物の活用など、様々なアプローチによる取り組みが進められている。
ブルークレジットの社会実装に関する考察
ブルークレジットの実用化において、科学的知見に基づく炭素吸収量の定量化と信頼性の高い認証制度の確立が重要な課題となっている。国際機関や研究機関、企業が連携し、統一的な基準やモニタリング手法の開発を進めることで、市場メカニズムを活用した海洋環境保全の新たな枠組みが構築されるだろう。
海洋生態系の保全と経済活動の両立を目指すブルークレジットは、今後のカーボンニュートラル実現に向けた重要な施策となり得る。特に沿岸域を多く有する日本においては、地域特性を活かした取り組みの展開が期待されており、産学官連携による技術開発や実証事業の加速が求められている。
また、国際的な枠組みづくりにおいては、ユネスコIOCなどの国際機関が果たす役割が重要になってくる。各国の取り組みや知見を共有し、グローバルスタンダードの確立に向けた議論を深めることで、より効果的な気候変動対策の実現につながることが期待される。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「【叡啓大学】国際シンポジウム「ブルークレジットの現状と将来」が開催され5名の学生が逐次通訳を担当 | 広島県公立大学法人のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000337.000051586.html, (参照 2025-01-08).