記事の要約
- 岡山大学病院がコロナ後遺症の倦怠感に対する臨床研究を開始
- 補中益気湯またはプラセボ薬を用いた6週間の臨床試験を実施
- 2024年12月から2026年9月末まで研究参加者を募集
岡山大学病院のコロナ後遺症研究開始
国立大学法人岡山大学の岡山大学病院総合内科・総合診療科は、新型コロナウイルス罹患後症状の全身倦怠感をきたしている患者を対象とした臨床研究を2024年12月31日に公開した。国立研究開発法人日本医療研究開発機構の委託を受けて実施される本研究では、18歳以上でCOVID-19診断から1カ月から半年前の患者が対象となっている。
研究では試験薬として補中益気湯またはプラセボ薬を1日2~3回、6週間服用する形で実施され、服用終了日と開始から70日目に診察や各種検査による経過観察が行われる。本研究の対象者募集期間は2026年9月末までとなっており、科学的根拠のある治療法の確立が期待されている。
岡山大学病院の総合内科・総合診療科では、コロナ・アフターケア外来として医師のチームによる診療体制を整備している。新型コロナ感染症の5類移行後も一定数の後遺症患者が発生しており、本研究を通じた有効な治療法の確立が求められている。
コロナ後遺症研究の概要
項目 | 詳細 |
---|---|
研究開始時期 | 2024年12月 |
募集期間 | 2026年9月末まで |
対象者 | 18歳以上、COVID-19診断から1カ月~半年前の患者 |
試験薬 | 補中益気湯またはプラセボ薬 |
服用期間 | 6週間(42日間)、1日2~3回 |
経過観察 | 服用終了日(42日目)と開始から70日目に実施 |
倦怠感について
倦怠感とは、全身のだるさや疲労感を感じる症状のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- 身体的な疲労感や脱力感を伴う症状
- 日常生活に支障をきたす持続的な体調不良
- コロナ後遺症における主要な症状の一つ
コロナ後遺症における倦怠感は、感染から回復後も長期間持続することが特徴として挙げられる。岡山大学病院の研究では、この倦怠感に対する有効な治療法を確立することで、多くの患者のQOL向上につながることが期待されている。
コロナ後遺症の倦怠感研究に関する考察
科学的根拠に基づいた治療法の確立を目指す本研究は、コロナ後遺症に悩む患者への具体的な支援策として大きな意義を持つものだ。特に補中益気湯という漢方薬を用いた試みは、西洋医学と東洋医学の知見を組み合わせた新しいアプローチとして注目に値する。
一方で、臨床研究の対象者が18歳以上に限定されているため、小児や若年層における後遺症対策は別途検討が必要になるだろう。また、6週間という比較的短期間での効果検証となるため、より長期的な経過観察や追跡調査の実施も重要な課題となってくる。
今後は本研究の成果を基に、様々な年齢層や症状の重症度に応じた個別化治療の開発が期待される。特に倦怠感以外の後遺症症状への応用可能性や、他の治療法との組み合わせによる相乗効果なども検討課題として挙げられるだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「【岡山大学】新型コロナウイルス罹患後症状(コロナ後遺症)の倦怠感に対する臨床研究を開始 | 国立大学法人岡山大学のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002809.000072793.html, (参照 2025-01-08).