成蹊大学と西武鉄道が駅ナカ店舗の購買行動研究を実施、SDGs11の実現を目指した産学共同研究の成果を公開
記事の要約
- 成蹊大学と西武鉄道が産学共同研究を実施
- 41駅の乗降者数と32商品の販売データを分析
- 駅ナカ店舗の購買行動の特徴を解明
西武鉄道駅ナカ店舗の購買行動に関する産学共同研究
成蹊大学と西武鉄道株式会社は、SDGs11「住み続けられるまちづくり」の実現を目指し、2024年度に産学共同研究を開始した。永野護成蹊大学経済学部教授をプロジェクトリーダーとして、2023年1月1日から12月31日までの西武鉄道41駅における乗降者数と駅ナカ店舗32商品の販売データを分析している。
研究チームは乗降者数と駅構内店舗の商品販売数量の関係性について、改札内外の位置による影響を調査した。改札外店舗と改札内外店舗では乗降者数の増加がほぼ全ての商品売上にプラスの影響を与え、改札内店舗では一部商品に限定されるものの売上への影響が顕著に表れることが判明した。
価格ディスカウントによる売上への影響は乗降者数の増加効果と比較して限定的であり、改札内外ともに32品目中4~6品目でのみ効果が確認された。気象条件については、気温1度の上昇で10品目ずつの売上増減が見られ、湿度1%の上昇では21品目で売上が減少する傾向にあることが明らかになった。
研究データの詳細分析
データ項目 | 期間 | 対象範囲 | データソース |
---|---|---|---|
乗降者数 | 2023年1月1日~12月31日 | 41西武鉄道駅 | 西武鉄道 |
商品売上 | 2023年1月1日~12月31日 | 32商品 | 西武鉄道 |
気象条件 | 2023年1月1日~12月31日 | 気温・湿度・天候 | 気象庁 |
競合店舗 | 2023年1月1日~12月31日 | 駅半径1km以内 | NAVITIME |
SDGsについて
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月の国連サミットで採択された2030年までの国際目標を指す。以下が主な特徴として挙げられる。
- 17の国際目標と169のターゲットで構成
- 2030年までの達成を目指す具体的な行動指針
- 環境・経済・社会の調和のとれた発展を重視
SDGs11は「住み続けられるまちづくり」を目標とし、持続可能な都市開発と人間居住の実現を目指している。公共交通機関の整備や都市計画の改善を通じて、すべての人が安全で快適な生活を送れる社会の構築を重要視している。
駅ナカ店舗の購買行動研究に関する考察
駅ナカ店舗における購買行動の特性を明らかにしたことで、より効果的な商品展開や店舗配置が可能になると考えられる。特に改札内外での売上傾向の違いは、店舗戦略の最適化に向けた重要な指標となり得るだろう。駅周辺の競合店舗数が改札外店舗の売上に影響を与えるという発見も、今後の出店戦略に活用できる可能性がある。
気象条件が商品売上に与える影響を定量的に把握できたことは、季節に応じた商品構成の最適化につながる可能性がある。また、価格ディスカウントの効果が限定的であるという発見は、従来の価格戦略の見直しを促すきっかけとなるだろう。今後は、より詳細な時間帯別分析や顧客属性との関連性の研究が期待される。
鉄道駅は単なる交通結節点ではなく、地域の生活拠点としての機能も果たしている。この研究成果を基に、駅ナカ店舗のさらなる利便性向上や地域ニーズへの適合が進むことで、SDGs11が目指す持続可能なまちづくりの実現に貢献することが期待される。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「成蹊大学×西武鉄道 産学共同研究 | 学校法人成蹊学園のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000032.000140072.html, (参照 2025-01-16).