記事の要約
- 神奈川大学のロケット打ち上げ実証実験に成功
- 最高到達高度10059mと機体回収を達成
- 海洋再生プラスチック活用の飛行実証を実施
神奈川大学とASTRO GATEのロケット打ち上げ実証実験
ASTRO GATE株式会社は2024年12月14日、福島県南相馬市において神奈川大学のロケット打ち上げ実証実験の支援を実施した。全長4611mm、直径200mmのハイブリッドロケットは、神奈川大学が保持する国内高度記録の更新と海洋再生プラスチックを利用した着火剤の実証を目的として開発された。
同日午前6時50分に実施された打ち上げでは、データ分析の結果最高到達高度10059mを記録し、機体の洋上回収にも成功している。このロケットは酸化剤分解樹脂を用いた炭素繊維複合材の飛行実証と機体の再利用を目標とした減速・回収の実証も兼ねており、複数の技術実証を同時に達成した。
ASTRO GATEと神奈川大学は神大パートナー制度により包括的な連携体制を構築しており、宇宙へのアクセス確立を目指した取り組みを継続している。また本実験は福島イノベーション・コースト構想推進機構のFukushima Tech Create事業の支援を受けて実施された。
ロケット打ち上げ実証実験の詳細
項目 | 詳細 |
---|---|
打ち上げ日時 | 2024年12月14日午前6時50分 |
打ち上げ場所 | 福島県南相馬市 |
ロケット諸元 | 全長4611mm、直径200mm |
最高到達高度 | 10059m |
実証項目 | 高度記録更新、海洋再生プラスチック着火剤、機体回収技術 |
ハイブリッドロケットについて
ハイブリッドロケットとは、固体燃料と液体酸化剤を組み合わせた推進システムを持つロケットエンジンのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 固体ロケットと液体ロケットの長所を併せ持つ推進システム
- 安全性が高く、開発コストを抑えることが可能
- 燃焼を制御しやすく、再着火も可能な特性
神奈川大学が開発したハイブリッドロケットは、海洋再生プラスチックを利用した着火剤や酸化剤分解樹脂を用いた炭素繊維複合材を採用している。環境に配慮した新素材の実用化と高度な制御技術の実証を同時に達成することで、次世代ロケット開発における重要な知見を得ることに成功した。
神奈川大学のロケット打ち上げ実証実験に関する考察
神奈川大学のロケット打ち上げ実証実験は、大学主導の宇宙開発における重要なマイルストーンとなった。海洋再生プラスチックの活用や機体回収技術の実証は、環境負荷の低減と持続可能な宇宙開発の両立を目指す先進的な取り組みである。このような実証実験の成功は、大学における宇宙技術研究の可能性を大きく広げるだろう。
今後は実証実験で得られたデータを基に、さらなる高度化や機体の再利用性向上が期待される。特に海洋再生プラスチックを活用した着火剤の性能向上や、回収システムの信頼性向上が重要な課題となるだろう。産学連携による技術開発の継続的な推進が、日本の宇宙産業の発展に貢献すると考えられる。
また福島県南相馬市での打ち上げ実験は、地域の宇宙産業集積にも大きな意味を持つ。今後も実証実験の規模拡大や頻度増加により、地域経済への波及効果が期待される。大学と企業、地域が一体となった宇宙開発の推進が、新たな産業創出と人材育成につながるはずだ。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「ASTRO GATE、神奈川大学のロケット打ち上げを支援 | ASTRO GATE株式会社のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000148328.html, (参照 2025-01-10).