保育園のICT活用率が大幅増加、データ分析による保育の質向上と業務効率化が進展

記事の要約
- 保育園のICT活用率が2022年から14.9ポイント上昇
- 園児台帳や保護者連絡へのICT導入が約6割に到達
- データの分析・活用による保育の質向上が進展
保育園におけるICT活用状況の実態調査結果
株式会社明日香が運営する子ねくとラボは、保育園でICT関連業務に関わる人104名を対象に2025年1月6日から7日にかけて「保育園におけるICT活用」に関する定点調査を実施した。調査結果によると園児台帳の作成・管理でのICT活用が57.7%と最も高く、保護者との連絡が52.9%、職員のシフト作成機能が50.0%と続いている。
ICTを活用したデータ収集では、子どもの食物アレルギーが55.8%で最も多くの園が実施しており、子どもの興味・関心が52.9%と続いている。子どもの健康状態に関するデータ収集は48.1%となり、2022年の調査と比較して18.6ポイント減少する結果となった。
収集したデータの活用状況について、運営改善や保育の質向上への活用率が88.5%まで拡大し、2022年から14.9ポイント上昇している。また、ICTデータの分析や振り返りを実施している保育園は81.8%に達し、2022年と比較して9.3ポイント上昇する結果となっている。
保育園のICT活用状況の詳細
2025年 | 2022年 | 変化 | |
---|---|---|---|
園児台帳管理 | 57.7% | 52.1% | +5.6% |
保護者連絡 | 52.9% | 42.6% | +10.3% |
シフト作成 | 50.0% | 55.3% | -5.3% |
データ分析実施 | 81.8% | 72.5% | +9.3% |
保育園のICT活用における課題
保育園におけるICT活用の主な課題について、以下のような点が挙げられる。
- 職員の理解・協力が得られない
- 導入・運用コストが高い
- 操作が複雑で使いこなせない
ICTの導入や活用において現在課題となっている事項として、職員の理解・協力が得られないことが50.0%と最も高い割合を示している。また導入・運用コストの高さが44.2%、操作の複雑さが43.3%と続いており、これらの課題解決が今後のICT活用促進のカギを握っているようだ。
保育園のICT活用実態に関する考察
保育園におけるICT活用は着実に進展しており、特にデータの分析・活用面で大きな進歩が見られている。データに基づいた保育の質向上や業務効率化への取り組みが広がっており、保育現場のデジタルトランスフォーメーションが本格化している状況にある。
一方で、職員の理解・協力の不足やコストの問題など、導入・活用における課題も明確になっている。特に職員のICTリテラシー向上や、使いやすいシステムの開発が今後の重要な課題となっているため、研修体制の整備や導入支援の充実が必要不可欠だろう。
今後は単なる業務効率化だけでなく、収集したデータを活用した保育の質の向上や、保護者とのコミュニケーション強化など、より高度な活用方法の検討が求められる。保育現場の特性に合わせたICTツールの開発や、成功事例の共有なども重要な取り組みになるだろう。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「【ICT活用は2022年から進展した?】約9割の保育園が、ICTデータを「運営改善や保育の質向上」に活用、2022年より14.9ポイント上昇 | 株式会社 明日香のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000139.000043389.html, (参照 2025-01-24).