全国7校の高校生がフェイクニュース対策授業を開発、メディアリテラシー育成プログラムの新たな展開に期待

記事の要約
- 高校生38名が「フェイクニュース時代のメディアリテラシー育成プログラム」を開発
- 全国7校が11種類の授業案と教材を発表
- 古文授業やゲーム型教材など独創的な学習方法を提案
全国7校の高校生がメディアリテラシー教育プログラムを開発・発表
愛知教育大学社会科教育研究室の土屋武志教授を中心とした取り組みとして、2025年2月16日に株式会社ユーザベース社にて第2期「フェイクニュース時代のメディアリテラシー育成プログラム」報告会が開催された。全国7校から集まった高校生38名が、自ら開発した授業案5種類と教材6種類を発表し、メディア関係者や教育関係者が熱心に聞き入った。
静岡雙葉高校の生徒たちは、災害時の情報活用力向上を目指したカード型ゲームを開発し、地震災害への備えとして情報収集や判断力を養うための実践的な教材を提案した。開発の背景には、静岡県の地震リスクへの危機意識があり、教材の継続的な改善と他校での活用を目指している。
奈良女子大学附属中等教育学校の生徒たちは、古文の授業を通じてメディアリテラシーを学ぶユニークな授業を開発し、実践した結果、情報の確認を行う生徒が13%増加するという成果を上げた。古来より人間がデマに振り回されてきた歴史から学び、ネガティブ・ケイパビリティーの重要性を理解させる工夫が特徴となっている。
参加校と開発プログラムの概要
学校名 | 開発内容 | 特徴 | |
---|---|---|---|
事例1 | 静岡雙葉高校 | カード型ゲーム | 災害時情報活用力の向上 |
事例2 | 奈良女子大学附属中等教育学校 | 古文授業 | デマ情報への批判的思考育成 |
実施体制 | 愛知教育大学 | プログラム統括 | 産学共同運営 |
実施期間 | 2023年度〜2025年度 | 3年計画 | 継続的な発展を目指す |
メディアリテラシーについて
メディアリテラシーとは、様々な媒体からの情報を批判的に読み解き、適切に活用する能力のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- 情報の信頼性を評価・判断する能力
- フェイクニュースを見分ける批判的思考力
- 適切な情報発信・活用能力の育成
本プログラムでは、高校生が自らメディアリテラシーを学ぶ授業を設計することで、より実践的な学びを実現している。授業実践の結果、情報を確認する習慣が身につくなど、具体的な教育効果が確認されており、今後の展開が期待される取り組みとなっている。
メディアリテラシー育成プログラムに関する考察
高校生が主体となって授業や教材を開発する本プログラムの特徴は、学習者の視点を直接反映できる点にある。従来の教師主導の授業では気づきにくい高校生特有の課題や関心事を取り入れることで、より効果的な学習内容の設計が可能となっている。
今後の課題として、開発された教材の普及と継続的な改善の仕組みづくりが挙げられる。各校で開発された優れた教材を他校でも活用できるよう、共有プラットフォームの整備や教材の標準化が必要となるだろう。
産学共同での取り組みという特徴を活かし、実社会で活用できる実践的なメディアリテラシーの育成が期待される。特に災害時の情報活用や古文を通じた批判的思考の育成など、独創的なアプローチは他地域での展開も期待できる成果となっている。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「高校生が発案・作成した授業や教材を発表 「フェイクニュース時代のメディアリテラシー育成プログラム」報告会を開催 | フェイクニュース時代のメディア情報リテラシー育成プロジェクトのプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000152776.html, (参照 2025-03-06).