記事の要約
- ヤマハがフィリピンでリコーダーを用いた音楽教育を試験導入
- メキシコ州でリコーダーを用いた音楽教育の覚書を締結
- スクールプロジェクトの対象国が9か国に拡大
フィリピンとメキシコでの音楽教育支援プログラム開始
ヤマハ株式会社は2024年12月、フィリピン・ダバオ市の公立初等学校3校でリコーダーを用いた音楽教育のトライアル授業を開始した。このトライアル授業は10月29日に締結された音楽教育協力の覚書に基づくもので、第5学年の児童約120名を対象に実施されている。
ヤマハ株式会社は2015年より新興国を中心に「スクールプロジェクト」を展開しており、これまでに8か国で累計422万人の子どもたちに音楽教育の機会を提供してきた。フィリピンは9か国目の展開国となり、公教育における音楽と楽器を使った活動の更なる普及が期待されている。
また、ヤマハ・デ・メヒコはメキシコ州教育局と2024年11月21日に音楽教育を通じた非認知能力の育成に関する協力覚書を締結した。2025年初旬からパイロット授業を開始する予定で、リコーダーを用いた日本型音楽教育の導入を支援していく方針だ。
音楽教育支援の概要
項目 | 詳細 |
---|---|
プロジェクト名 | スクールプロジェクト |
開始年 | 2015年 |
対象国数 | 9か国(フィリピン含む) |
累計受講者数 | 422万人(2024年9月末時点) |
導入予定時期 | フィリピン:2024年12月、メキシコ:2025年初旬 |
対象学年 | フィリピン:第5学年約120名 |
非認知能力について
非認知能力とは、IQテストなどで測定される認知能力とは異なる、社会性や自制心、意欲などの人格的な特性を指す能力のことである。主な特徴として、以下のような要素が含まれる。
- 他者との協調性や共感性を育む社会的スキル
- 目標に向かって粘り強く取り組む意欲や自制心
- 創造性や表現力を高める芸術的感性
音楽教育は非認知能力の育成に効果的であり、特に日本型音楽教育における協働活動や探究活動は、児童の社会性や創造性を育むことが期待できる。メキシコでの音楽教育支援では、リコーダーを用いた器楽演奏を通じて、児童の非認知能力の向上を目指している。
スクールプロジェクトに関する考察
ヤマハのスクールプロジェクトは、新興国における音楽教育の普及という社会的意義と、将来的な市場開拓という事業戦略を両立させた取り組みとして評価できる。特に公教育機関との連携により、持続可能な音楽教育システムの構築が期待できるだろう。
一方で、各国の教育制度や文化的背景の違いにより、日本型音楽教育の導入には慎重な対応が必要となる。特に教員の指導力向上や教材の現地化など、長期的な支援体制の確立が課題となるだろう。
今後は音楽教育を通じた非認知能力の育成効果を科学的に検証し、各国の教育ニーズに合わせたプログラムの最適化が求められる。また、デジタル技術の活用により、より効果的な音楽教育支援の実現が期待される。
参考サイト/関連サイト
- PR TIMES.「スクールプロジェクト新規展開国で始動 フィリピンでリコーダーを用いた音楽教育を試験導入、メキシコでは音楽教育協力の覚書を締結 | ヤマハ株式会社のプレスリリース」.https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000923.000010701.html, (参照 2025-01-08).